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2017年 10月 15日
「ヤマナシ、送ってもらえる?」というリクエストがあった。「アオナシの方なら……」と答える。アオナシは昨年、隣県のポイントを見つけてあるが、ヤマナシはまだ見ていない。ヤマナシとアオナシはどちらも自生ナシだが、呼び名が似ていることもあって混同されている例もあるし、僕自身もこれらの関係についての理解はおぼろげだった。 そもそもどこが違う?ちょうどいい機会なので調べてみることにする。地元の図書館に行ってみると、植物の新しい標準図鑑「改訂新版日本の野生植物」が入っていたので(素晴らしい!とても助かる)、これで調べてみた。 日本に自生するナシ属 Pyrus は3種。ミチノクナシ P.ussuriensis、マメナシ P.calleryana、ヤマナシ P.pyrifoliaだ。 ミチノクナシは岩手県の山地に自生していて、イワテヤマナシとも呼ばれる。アオナシはこのミチノクナシの変種という扱いになっていて群馬、長野、山梨、静岡に自生とある。マメナシは愛知、三重、岐阜にまれに自生。この2種は日本の野生植物だが、最後のヤマナシは原産が中国中南部で日本には有史以前に渡来、本州、四国、九州で野生化していて、僕たちが食用にしているナシ(ニホンナシ)は、このヤマナシを栽培化したものと考えられている。整理すると以下のよう。 ナシ属 Pyrus ミチノクナシ(イワテヤマナシ) P. ussuriensis ミチノクナシ var.ussuriensis アオナシ var. hondoensis マメナシ P.calleryana ヤマナシ P.pyrifolia→(栽培化)→ナシ(ニホンナシ) マメナシは分布が限られているし、果実は径1cmと他に比べてずいぶん小さいので、まだ見たことはないが果実の季節なら間違えることはないだろう。ミチノクナシとヤマナシは果実に萼片が残っているかどうかなどが識別点にあげられている。またミチノクナシの中のミチノクナシとアオナシは分布の違いのほか、葉の形状や果実が黄緑色で皮目が少ないなどの違いがあるという。 これでいうと昨年見た野生ナシは、果実の色といい、萼片が飛び出しているところといい、やはりミチノクナシの変種アオナシでよさそうだ。 今年は新たに別の場所で「ヤマナシ」とされている木も見ることができた。アオナシに比べて葉も果実も大きい。果実はナシのように褐色で、萼片が目立たない。果実が大きいもので径5cmと大きいのが気になったが、図鑑のデータの範囲ではあるのでヤマナシと考えていいだろう。 実際に果実を拾いながら、ミチノクナシ(アオナシ)とヤマナシのもうひとつの違いに気がついた。ミチノクナシの果実はかなり香るのだ。大量に落ちていることもあって、あたり一面が香っているし、持ち帰ったら部屋の中までいい香りになった。一方、ヤマナシの方はほとんど香りがしない。 ちなみにかじってみると、どちらも酸味、渋みがあり、果実酒にはなるが、果物として生食する気にはならない。栽培種のナシは、よっぽど大きくなって、よっぽど美味しく改良されたんだねえ、と思う。
by ikkaku24
| 2017-10-15 15:24
| 植物
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